2012年01月の税務ニュース
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平成24年度税制改正案
平成23年度の税制改正に伴う法改正が先月国会で成立したところですが、平成24年度の税制改正についても先月閣議決定されました。平成23年度税制改正の中で見送られた案件について、平成24年度の税制改正に盛り込まれたものがありますので、個人所得税の関係についてご紹介します。国会で可決後、正式に決定します。
給与所得控除の上限の設定
その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除について、245万円の上限が設けられる見込みです。
現在の給与所得控除は、給与収入に応じて逓増的に控除が増加していく仕組みで、上限はありません。しかし、給与所得者の必要経費が収入に応じて必ずしも増加するとは考えられないこと、また主要国との比較でも全体的に高い水準となっていること等から見直しが図られました。
■計算例 年収2,000万円の場合(基礎控除38万円のみで税額を計算)
現 行 | 改正後 | |
給与所得控除270万円 | → | 年収1,500万円超に該当のため 給与所得控除は上限の245万円 |
年間所得税 4,047,600円 | → | 年間所得税 4,130,100円 |
年間で82,500円の税金が増えます。 |
※上記の改正は、所得税は平成25年分以後、個人住民税は平成26年度分以後について適用されます。
法人役員等の退職金について、2分の1課税を廃止
通常、退職所得の計算をする際には、もらった退職金から退職所得控除額を引き、それを更に2分の1にして計算します。この計算方法を勤続年数5年以下の法人役員(法人役員に相当する公務員・議員を含む)に係る退職所得について、退職所得控除額を引いたあとの2分の1の計算の部分を廃止するという改正です。
この改正の背景には、2分の1課税を前提に、短期間のみ在職することが当初から予定されている法人役員等が、給与の受取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることで、税負担を免れるといった事例が指摘されていたことがうかがえます。
※上記の改正は、所得税については平成25年分以後、個人住民税は平成25年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用します。